英語学習者へのアドバイスに「ゆ…
たくさん勉強をしても英語が上達しない原因と解決方法
「毎日オンライン英会話を続けていますが、一向に英語が上手くなりません」
「問題集をひたすら解きましたが、スコアが上がりません」
このような相談を受けることがよくあります。
赤本を何年分も解くという受験勉強の名残りのせいか、いつのまにか私たちは「勉強=たくさん量をこなす」というように考えているのかもしれません。
今回の記事では、その原因と正しい勉強方法について考察していきます。
なぜたくさん勉強しても英語が上達しないのか?
何時間勉強しても英語が上達しない原因は、上達を阻害している根本的な原因にアプローチできていない場合がほとんどです。
根本的な原因に対処できなければ、いくら時間と労力をかけても問題が解決することはありません。
ダイエットを例に挙げてみましょう。ダイエットは「摂取カロリー」と「消費カロリー」の引き算で成り立ちます。
いくら運動をして「消費カロリー」を増やしても、「摂取カロリー」を気にしない食事を続けていては体重は一向に減りません。その逆も然りです。
言語の話に戻りましょう。
言語を上達させるために必要なスキル(原因)を大きく分類すると、
- 基礎スキル(語彙・文法)
- 表現・解釈スキル(精読・発音・フレーズ)
- 実経験スキル(状況に応じた反応・環境適応力)
となります。
上記の3つのスキルの中で、自分が不足しているスキルを補うことに焦点を当てて勉強内容を適応させていく考え方が重要になります。
1. 基礎スキルを伸ばす勉強方法
語彙や文法などのスキルは「基礎スキル」です。これらは、暗記を中心とした勉強方法が中心となります。
暗記と「模試を沢山解く」という学習方法は相性が良く、量をこなして同じような情報に触れる過程で覚えていくことが可能です。
ポイントは、
- 量をこなすこと
- 長期的にこなすこと
- 繰り返しこなすこと
の3つです。
基礎スキルの特徴は、短期では解決できないという点です。
そのため、基礎スキルが不足している状態で短期的に大量の模試を解いても、スコアが安定することは滅多にありません。
積み上げ式のスキルになるので、毎日の積み重ねが重要。
「英語の勉強するぞ!!」
と意気込んでから勉強するのではなく、将来その可能性があるのであれば今すぐ1日10分でもいいのでインプットの習慣を形成することが大切です。
2. 表現・解釈スキルを伸ばす勉強方法
相手に自分の意思やアイデアを伝えるためのスキルや情報の意図を汲み取る力は、基礎スキルよりも上位のスキルです。
これらは暗記で身につくものではなく、実際に自分の頭で考えてアウトプットした結果を振り返ることが大切です。
ポイントは、
- 自分の特性に合わせて学習内容を定着させること
- 作業にしないこと
- 再現性を高めること
の3つです。
発音は舌の柔軟性や声質、元々の発声の仕方など個々による差が大きいスキルです。このような場合、単にやり方を「知る」だけでは再現することはできません。
大切なことは知った情報を、自分なりに噛み砕き自分の身体で再現できるように再構築すること。単なる知識ではなく、技能として昇華させることです。
そのためには「単に量をこなす」というような作業として勉強を進めるのではなく、毎回自分なりの仮説をもち振り返りを行うというプロセスが必要になります。
3. 実経験スキルを伸ばす勉強方法
最後は実経験スキルです。その名の通り、実際にネイティブと対話する中で身についていく経験値です。
実際に冷や汗をかきながら何とか乗り切った経験があると、様々なシチュエーションでも焦らずその場に応じた適切なコミュニケーションが取れるようになっていきます。
ポイントは、
- 冷や汗をかくような体験をする
- 振り返りを行う
- 時にはネイティブに教えを乞う
の3点です。
経験を積む時に大切なことは、コンフォートゾーンから離れている適度な負荷がかかっている状況に身を投げ込むことです。
この負荷が高すぎても軽すぎてもあまり効果がないので注意してください。
過度な負荷がかかりすぎると脳は逆に思考停止してしまうので、その後の振り返りができなくなってしまいます。
逆に負荷が軽すぎるとそれはただのルーティン・ワークとしての機能しか果たさなくなり、経験から学びに繋げることが難しくなります。
ここで述べている実経験に関して、以前Noteに書いたことがあるので興味があればご覧になってください:
https://note.com/lukesolo/n/nc30d66628af2
実経験から得られる学びは、学習参考書やブログなどとは比べものになりません。
時には話の腰を折ると分かりつつも、ネイティブに質問し表現や姿勢について伺ってみることも価値のある学びになります。
「場の空気を読む」というのは日本人特有の美徳ですが、その美徳をあえて取り払い、異国の価値観に染まってみることも学びになるはずです。
たくさん勉強しても英語が上達しない理由
上記でまとめた内容をみてみると、模試を解いたり、ひたすらオンライン英会話に取り組むことは、いずれも作業的な勉強方法であることが分かります。
上記のスキルでいうと基礎スキルの向上には役立つ可能性がありますが、その他のスキルを向上させるには負荷が足りていません。
言語はどこか一つのスキルが秀でていれば流暢に運用できるものではなく、全てのスキルを総合的に高い水準にしていくことが重要です。
そう考えた時に「とりあえず勉強しまくればいつかは英語ができる!」という考え方は、本質からズレた解決策であると考えられるのです。
受験やTOEICは「たくさん勉強する」が解決策になり得る
試験の中でも受験やTOEICは、「たくさん勉強する」という方法が解決策になり得ます。
というのも、
- 出題範囲が限定されている点
- 出題される問題傾向のパターンが均一な点
という2つの性質を持っているためです。
これらの試験における成功体験が根強く残っていると、より柔軟な解釈が求められるIELTSやTOEFLといった高次の試験においても同じような解決手段を選択してしまうケースがあります。
「勉強=たくさん量をこなす」
必ずしもこれが正解の勉強方法ではない、ということを念頭に置くこと。思い込みにとらわれないことが大切です。
まとめ
私たちの多くは「受験勉強」という強烈な勉強体験が身体に染み付いています。
そのため「勉強」というと、机に向かって何時間も参考書と睨めっこするようなイメージを自然と抱いてしまいがちです。
しかし、言語習得はそういった知識科目とは違い、むしろ運動能力に近いスキルです。
単に素振りをやっているだけではプロになれないのと同じで、自分に欠けているスキルを補って、総合的に安定したスキルを獲得していくことが非常に重要になります。
また、運動のように個々人による感覚の差が大きい分野でもあるので、人の成功体験を鵜呑みにするよりも、自分の中で再現性の高い方法を確立させていくことを意識してみてください。
今回の内容は、全て私の指導経験や言語に対する個人的な感覚をベースに書き出しています。解釈の違い等あると思いますので、その点ご理解いただけますと幸いです。
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