英語学習者へのアドバイスに「ゆ…
CEFRを活用した効果的な英語学習法
「自分の英語力を客観的に把握するためにオススメの指標はありますか?」
こんな質問をいただきます。
英語力を測る指標として、例えばTOEICやVERSANTといった気軽に受けられるものがありますが、これらのスコアが高くなっても根本にある課題が解決しないことが多いです。
テストはテクニックでもあるので、小手先のスキルで改善されることがあります。また、勘で解いた問題が正解だったということもしばしば。
そんな時は、ヨーロッパ圏で用いられる標準的なガイドラインである「CEFR」を参照してみてはいかがでしょう?
今回の記事ではCEFERについて簡単に説明をした後に、その具体的な学習方法をまとめていきます。
CEFRを活用した効果的な英語学習法
CEFRとは?
CEFRとは、ヨーロッパ全体で定めた外国語習得のレベルを表すガイドラインです。
外国語習得のレベルに合わせて、基礎の「A1」からネイティブレベルの「C2」までの6段階で習得度を表します。
参考までに各レベルの定義を日本語に訳したものを以下に共有します。(クリックで拡大します)
基礎の「A1」は自分に関連のある話題しか英語で表現できない状態を指します。
そこからレベルが上がるにつれて「幅広い話題」について話すことができるようになり、「話の要点」を抑えて主張を展開することができるようになります。
どのレベルを目指すと良い?
世界的に見て「英語を流暢に話せる」と考えられるレベルは「B2」です。
「C1」レベルまでいくと、いわゆる「ほぼネイティブ」みたいな状態です。日本で言うと海外で幼少期を過ごした帰国子女がこれにあたるケースが多いです。
仮に「B2」を目指した場合、どのような観点を意識して勉強したら良いでしょうか。
以下の表をもとに考えてみましょう:
B2 | 自身の専門分野を含めた抽象的な話題でも複雑な文章の要点を理解できる。ネイティブと自然にコミュニケーションを取ることができる。幅広い話題に関して、明確な文章を構築することができる。 |
B1 | 仕事・学校・娯楽などの身近な話題について、一般的な話し方であれば要点を理解できる。日常的に起こるほとんどの問題について対応することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題については要点の明確なシンプルな文章を構築することができる。 |
「B2」は「B1」と比べると理解できるトピックの範囲が広く、ネイティブ特有の表現でも理解できる状態であることがわかります。
また、会話の観点からみると自分に関連したこと以外でも、明確に意図を伝えることができる状態も特徴の一つでしょう。
まとめると以下の観点を意識して勉強することで、CEFR B1からB2にレベルアップできる可能性が高いです:
- 専門分野以外の語彙をインプットする
- フォーマル・インフォーマルな英語表現をインプットする
- 専門分野以外に関して自身の見識を高める
- (発音の精度を向上させる)
4の「発音の精度を向上させる」は、日本人の英語学習者に当てはまる共通の課題です。
CEFRでは発音に関する定義が含まれません。一番大切な発音の観点を見落とすと、本末転倒になってしまうので念の為共有させていただきました。
それでは各観点を加味して、それぞれ必要な学習を考えていきましょう。
① 幅広い情報に触れる
理解力の幅を広げるためには、様々なジャンルの話題に関する知識を英語でインプットする必要があります。
ビジネスにおける手段として英語を学習していると、どうしても効率性を意識して自身の業界に関する情報や関心のある分野のインプットが優先されがち。
しかし、円滑なコミュニケーションを実行するためには、英語圏で一般教養とされているような知識や古典を理解しておく方がベターです。
もちろん古典ではなく、現代における社会情勢などでも大丈夫。
自分の身の回りにある情報だけではなく、世界という広い観点から見た時に人々の関心のある情報を中心にインプットすることを意識してみてください。
② 対応できるシチュエーションを増やす
言語にはシチュエーションごとに使われる
- 特有のフレーズ
- コミュニケーションの型
があります。「フレーズ」と「型」を網羅的に学習し、自分の能力で処理できる状況を増やしていくことが次のレベルになるためには必要です。
学習方法は、海外ドラマや映画などのワンシーンの会話展開を予想しながら視聴するのがオススメです。
フレーズや会話パターンを把握することで、次にどんな話が展開するかを想像することができるようになります。
③ 論理展開力を伸ばす
最後に相手に伝わりやすい文章の構成を身につけていきます。
英語は明確に論理の流れがわかる言語なので、日本語と同じ語順・展開で話をすると相手に自分の意図が伝わりません。
英語は、
- 抽象(アイデア・自分の考え)
- 具体(理由)
- 具体(事例)
- 抽象(結論)
このように「抽象→具体」と話が展開されます。
最初から具体的な内容を伝えようとするのではなく、自分のポジション(話の方向性)を示した上で、具体性の伴った話に展開することを心がけてみてください。
ちなみにこれは英語力というよりは、国語力や論理力が大切になるファクターです。
必ずしも英語を勉強することが解決の糸口になり得ない、ということを頭の片隅に入れておくことも大切かもしれませんね。
番外編:言語は話者の “自信” に左右される
言語は話す人自身の「自信」によって大きくアウトプット精度が左右されます。
- 「この文法で合ってるかなぁ…」
- 「英語を話すと、いつも聞き返されるんだよなぁ…」
と、英語を話す時に極度に緊張することはありませんか?
そのように緊張することで、声量が小さくなったり、ちょっと言葉に詰まっただけで “sorry…”とコミュニケーションが逃げ腰になったりします。
逆に自信があれば(一見すると何も考えてないようにも見えますが)、声も大きくなり、自分の主張を貫き通すような態度になります。
言語を100%変換することはできません。その国の文化感に根付いた言葉や価値観が言語には反映されているからです。
そのため「言語はそもそも100%伝わらない。80%相手に何となく伝わればOK!」というようなリラックスした姿勢を持って話すことが実は大切だったりします。
英語に “自信” を持つ方法
英語に “自信” を持つ方法は、実は英語力を鍛える以外にもあります。
それは、組織(所属するコミュニティ)において「価値のある専門性を身につける」ということです。
例えば、
- PCスキル(プログラミング)
- 営業スキル
- 格闘技(腕相撲が強いなど)
- 芸術
など、相手が頼られるような知識やスキルを磨く。
そうすることで、英語で伝える「コンテンツ」自体に価値が生まれ、あなたの話を聞く意味(必要性)が出てきます。
聞く側は、自然とあなたの言葉に耳を傾けて、集中して情報を聴き取ろうとします。
相手の聞く姿勢が整うことで、コミュニケーションは驚くほど円滑に進みます。
残念なことに言語にはセンスがあります。
英語が苦手な人が100時間勉強しても、問題が解決できるかは分かりません。
それよりも、その100時間を自分の必殺技を磨くことに使う。
相手に頼られるようになると、自然と英語のコミュニケーションが増えます。英語のコミュニケーションが増えると、自然と英語が上手くなっていきます。
スキルも英語力もレベルアップする。
今後のキャリアを考えても、メリットがある考え方です。
まとめ
日本語話者にとってCEFR「B1」から「B2」に上がるためには、とてつもなく大きな壁があります。
しかも残念なことに、その壁を乗り越えた先にある壁もまた高く、英語に対するコンプレックスが解決することはないでしょう。
しかし、英語のレベルが上がると、それだけ挑戦できるチャンスが拡がることも事実。
コミュニケーションに自信を持てるようになることで、それ以外の部分でもプラスに働くことが容易に想像できます。
この記事の内容が少しでも参考になれば幸いです。
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