英語学習者へのアドバイスに「ゆ…
ビジネス英語のレベルをあげる勉強方法と考え方
「毎日シャドーイングを続けていますが、一向に英語が上手くなる気がしません…」
このような学習方法に関するご相談も頻繁にいただきます。
昨今の英語教育市場では、猛烈な「シャドーイング」ブーム。
有名な経営者が「これで私は英語をマスターした!」と言っているのか、今や「英語学習=シャドーイング」と言っても過言ではないような気がします。
しかし、ビジネスにおいても英語学習においてもたった一つのソリューションで解決できる問題などありません。
この記事では、ビジネス英語のレベルが中々上がらない人に向けて、勉強方法を考えるキッカケになるような情報を共有できればと思います。
ビジネス英語のレベルをあげる勉強方法
ビジネスでも英語でも、何か問題を解決するときに一番やらなくてはいけないのが「本質的な問題の特定」です。
適切な問題設定ができていないと、どれだけ解決策を模索しても本質を捉えきれず、時間や労力といった貴重な資本を大きく損なう可能性が高いです。
問題解決のプロセスは、
- 目標の達成を阻む障害を挙げる
- 障害を元に中間目標を設定する
- 中間目標を達成する手段を考える
- 中間目標を達成する順序を考える
以上の4つから成り立ちます。
自分自身のことは分かったつもりになり雑になりがち。
いきなり勉強を始める前に、落ち着いて紙とペンを用意しましょう。用意ができたら、ゆっくり一つずつプロセスを進めていってください。
自分と正しく向き合うことが、問題を正しく把握するためには不可欠だからです。
1. 目標の達成を阻む障害を挙げる
まずは目標達成を阻む障害を挙げていきます。目標は当然「ビジネス英語が上達する」ことです。
その前提で、以下の質問を自分自身に投げかけてみてください:
- その目標達成を阻む障害は何か?
- 他には考えられないか?
この段階では変に合理性などは考えず、思いつく限り課題点を列挙していくことが大切です。
上述の通り、行き当たりの勉強は時間も労力も消耗します。
問題点は予め分かっているのといないのでは、分かっている方が良い。
分かっていれば前もって対処することができますし、問題の全体像が見えてきます。
例えば、
- 語彙力が足りない
- 言いたいことがまとまらない
- 話している内容が伝わらない
- 聞き取れない
- すぐ愛想笑いで誤魔化してしまう
こんな課題が出てきたとしましょう。課題を出し切ったら次のステップに進みます。
できる限り客観的に自己スキルを評価する
課題点を挙げるときのポイントとして、できる限り客観的に自己分析をおこなうことがあります。
私たちは自分が大好き。大切。
無意識に傷つくのを避けるために、本質的な課題から目を逸らしてしまうことが多々あります。
また認知バイアスの一つ「ダニング・クルーガー効果」のことも考えると、自己評価が実際よりも高く見積もられることも往々にして起こります。
そのため、別人格の第3者目線から自己評価をする。耳の痛いことを言ってくれる信頼できる友人や先生に正直なフィードバックを求める。
このようなことを意識すると効果的です。
2. 障害を元に中間目標を設定する
課題点がリストアップできたら、以下の質問を自分に投げてみましょう:
- 「この障害を避けるための中間目標は何か?」
大切なことは、まだこの段階では中間目標を考えることだけに思考を留めておくことです。
最初に解決手段を考えてしまうと、その後に続く目標を達成する順序が分かりにくくなるため思考が混乱します。
中間目標と聞くと少し難しいような気がしますが、先ほど上げた課題をポジティブな表現に置き換えていくことで問題点が目標に変化します。
先ほどの課題点を置き換えてみると、
- 語彙力が十分ある
- 言いたいことがまとまる
- 話している内容が伝わる
- 聞き取れる
- 分からないときに質問できる
こんな感じです。
これらの目標が全て達成できたら、かなり英語力が伸びてきそうな気がしますね。この調子で次は目標達成の手段を考えていきます。
3. 中間目標を達成する手段を考える
中間目標が浮き彫りになったら、以下の質問を投げかけてみてください:
- この中間目標を達成する手段は何か?
例えば「語彙力が十分ある」状態を達成するためにやるべき行動は「毎晩20単語ずつ語彙を覚えていく」こと。もちろんアプリを使ってもいいし、単語帳ではなくニュースや書籍などを読んで20単語を覚えるなどしても良い。
より精度の高い解決策にしたい場合は、目標をより解像度高くしてみる。
「語彙力が十分ある」だと、どれくらいが「十分」かが分かりにくい。
例えばそれを「書類を読んだときに分からない単語を3つまでにする」というように、シーンを細かく切り取って自分の日常に当てはめてみる。
そうすることで感覚的で自分の尺度でしか評価できなかった目標に客観性がおびてきます。
これまでに挙げた中間目標を達成する仮の手段を考えてみると、
- (語彙力が十分ある)⇨ 毎晩20単語ずつ語彙を覚えていく
- (言いたいことがまとまる)⇨ ロジカル・シンキングを学ぶ
- (話している内容が伝わる)⇨ 発音矯正のスクールに通う
- (聞き取れる)⇨ 英語字幕を付けて海外ドラマ・映画を見る
- (分からないときに質問できる)⇨ 話をカットインするための表現を覚える
こんな感じでしょうか。
ここまで来たら後は、中間目標ごとに優先順位をつけて行動に移していきます。
4. 中間目標を達成する順序を考える
課題解決において非常に重要なのが、課題を解決する順番を考えることです。
問題の根っこ、いわゆる「ボトルネック」の改善ができると、自然とその根っこより上にある問題も解消する見込みが高いからです。
参考までに、以下のロジックツリーをみてみましょう:
そもそも語彙力が足りなければ相手の話していることを理解できないし、自己表現ができない。加えて、英語を聞き取るためには様々な英語のインプットが必要です。
そのため一番最初に取り組むべき課題は「語彙力」と「リスニング力」の基盤形成と考えられます。
「言いたいことがまとまる」や「分からない時に質問できる」状態になるためには、こちらの英語が相手にしっかり伝わる必要があります。
そのため、基盤形成ができたら伝える技術である「発音矯正」が必要になることがわかります。
もしかすると、発音が上達して自信がつくだけでもその上にある課題は解決するかもしれません。
このように、目標を根っこから順番に対処していけば着実にスキルアップして最終的には目標を達成できるのです。
ビジネスマンが日常的に行っているロジック・ツリーやクリティカル・シンキングの手段を、このように英語学習に活用することで、一見難しそうな課題も一つずつ解決することができます。
まとめ
シャドーイングは音声に関する課題を解決することはできますが、それ以外の課題を解決する手段として最適だとは考えられません。
多くの場合、課題は様々な領域に点在しているので、その中の根っこにある根本的な課題に目を向けることが現状を打破するためには大切な一歩となるはずです。
一朝一夕に解決できる問題は、本当の問題ではありません。
耳が痛いこと。直視するには恥ずかしいことに目を向けて、焦らず行動を継続していくことできっと今の悩みも軽くなってくるはずです。
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