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英語発音で聞き返されないための [a] の発音改善法

「英語を話すと、いつもネイティブに聞き返される…」

このような英語の発音に関する課題は、多くの人を悩ませています。

英語と日本語は音声性質が大きく異なるため、無理矢理カタカナに当てはめて “英語っぽく” 話してもネイティブは認識できないということが起こります。

今回はそんな英語の発音に関して、特に日本語話者が苦手な「ア( [a] )」の発音を説明していきます。

英語発音で聞き返されないための “a” の発音改善法

英語の「母音」の中で、日本人話者が特に苦手なのが「ア」に関連する発音です。

例えば、

  • match(マッチ) – much(たくさんの) 
  • hat(帽子) – hut(小屋) 

など、日本語話者からすると全く同じ発音に聴こえる単語が英語にはいくつもあります。

理由はシンプルで、日本語よりも英語の方が「ア」を表す母音の数が多いことが原因です。

日本語では一音で表すことができる「ア」は、英語では [ ʌ ] という発音記号が最も似ています。(完璧に同じ音ではありません)

[ æ ] の音や、 弱母音の [ ə ] の音は、日本語では存在しない音です。

先ほどの単語を発音記号に噛み砕いてみると、

  • [ mˈætʃ ] – [ mˈʌtʃ ]
  • [ hˈæt ] – [ hˈʌt ]

となります。

「こんな微妙な違いどっちでもいいでしょ!」と、思ってはいけません。

ネイティブ、特に日本人が使う英語に慣れていないネイティブは、この些細な音の違いを区別することができないからです。

このようなマイナーな発音のエラーが積み重なって、ネイティブにとって聞き取れない英語風の音が作られていくのです。

英語の母音と日本語の母音の違いを理解しよう

同じ音程で「アイウエオ」と発音した時に、それぞれの音を区別することができるのはなぜでしょう? 

それは5つの母音それぞれの「音色」が違うためです。

例えば「ド」の音をギター、フルート、サックスと違う楽器で鳴らしても違いがわかるのと同じようなことです。

母音の音色の違いは以下の3つの要素によって生まれます。

  1. 舌のどの部分が高く持ち上げられているか
  2. 持ち上げられている部分の高さはどれくらいか
  3. 唇の形はどうなっているか

以上の3点が組み合わさることで、母音の音色が変わります。

試しに「イーアーイーアー」と繰り返し言ってみてください。

「イー」の時は上の奥歯に舌が当たっていて、「アー」の時は舌が歯から離れているのがわかると思います。

英語と日本語の「舌の高さ」と「位置」を理解しよう

視覚的にそれぞれの音が発音される場所をイメージするために、以下の図をみてみましょう:

上記の資料をみると[ æ ] の音は口の前方で発音される特徴がある一方で、日本語に近い [ ʌ ] の音は喉の辺りで発音されていることがわかります。

日本語の音は、基本的に「舌が下がった状態で口の中央付近」で発話されます。

一方で英語の音は、舌の高さと音を出す位置が上下前後にダイナミックに変化する特徴があります。

この基本的な音声性質の違いを理解できないと、いくら英語を真似しても同じ音を再現することができません。

[ æ ] の音を出すポイント

[ æ ] の発音は日本語の「エ」を発音するように口を横に広げた状態で「ア」の音を出すことで再現することができます。

ポイントは、

  1. 唇を横いっぱいに広げること
  2. 口を半開きにして短く音を発すること

です。

次に上記の口の形を維持した状態で、以下の音を発話してみましょう:

  • hat(帽子) [ hæt ] 
  • bad(悪い) [ bæd ] 
  • mad(狂った) [ mæd ]

発音の練習をするときは必ず録音して、自分の英語を客観的に振り返る機会を持ちましょう。

振り返りのポイントは「ネイティブと似たような音になっているか?」という観点です。

ここで厳しく振り返ることができれば、着実に発音の精度が高くなっていきます。

[ ə ] の音を出すポイント

[ ə ] の発音は「弱母音」と呼ばれる音で、「ア」という音になる途中の弱く・曖昧な音です。

発音するときは、口を半開きにして喉の辺りから短く「アッ」と音がかすかに漏れるように再現しましょう。

この時に「ア」の音を意識しすぎないように。

「ア」でも「エ」でもどちらの音でもいいので、曖昧でかすかに音を出すというのが重要です。

ポイントは、

  1. 口を軽く半開きにすること
  2. 喉の手前あたりから短く「アッ」と発すること

です。

ジブリ映画「千と千尋の神隠し」に出てくる “カオナシ” の声をイメージするとわかりやすいかもしれません。

次に上記の口の形を維持した状態で、以下の音を発話してみましょう:

  • about(〜について) [ əbaut ] 
  • obtain(手にいれる) [ əbtein ] 
  • support(サポート) [ səpɔɚt ]
[ ə ] は弱母音という名前だけにストレス(強勢)がかかりません。できる限り曖昧に弱く発音することを意識しましょう。

[ ʌ ] の音を出すポイント

[ ʌ ] の発音は口を大きめに開いて喉の奥あたりから「アッ」と、歯切れよく音を出すことで再現することができます。

ポイントは、

  1. 口を大きめに開けること
  2. 喉の奥から短く「アッ」と発すること

です。

慣れないうちは息切れした時に「ハッハッ」と音が出るように、胸の辺りを意識してみてもOKです。

正式には「声門音」と呼ばれ [ h ] の音ですが、音が出る位置を意識するのによいトレーニングになります。

次に上記の口の形を維持した状態で、以下の音を発話してみましょう:

  • hut(小屋) [ hʌt ] 
  • bud (つぼみ)[ bʌd ] 
  • mud (泥)[ mʌd ]
[ æ ]  の音と比べると音がより尖ってはっきりと発話されると思います。

[ æ ] と[ ʌ ] を区別して再現する

上記を区別して再現できるようになったら、似ている音をそれぞれ口の形を意識しながら発話する練習をしましょう:

  • hat(帽子) [ hæt ]  – hut(小屋) [ hʌt ] 
  • bad(悪い) [ bæd ]  – bud (つぼみ)[ bʌd ] 
  • mad(狂った) [ mæd ] – mud (泥)[ mʌd ]
  • bank(銀行) [ bǽŋk ] – bunk(寝台)[ bʌ́ŋk ]

慣れるまでは少しオーバー気味に口の形や音を出す位置を意識してみてください。

そうすることで口内や舌の筋肉が鍛えられて、徐々にスムーズに音が再現できるようになります。

まとめ

今回は「ア」の音の区別に関して説明させていただきました。

英語の発音というと [ r ] [ l ] といったメジャーな違いについて意識が向きますが、意外と大切なのが母音の再現。

これができるようになるとリズムも取りやすくなり、全体的に英語の音が再現しやすくなるはずです。

同様にリスニングに関しても、より細部の音に意識が向くようになります。リスニング力を向上させる方法は、以下の記事にまとめているので参考にしてください:

何かご質問などあればお気軽にご連絡ください。

SOLO English記事編集担当です。

一般的な知識や情報ではなく、これまでの指導経験や独自の考察を中心に英語学習に関するヒントになるようなことをまとめていきます。

よろしくお願いします。

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