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中上級者向け英語ライティングを伸ばすテクニックと考え方

「英語の文章が幼稚すぎる…」

「IELTSのライティングで6.5以上が取れない」

そんな課題を抱えていている方から相談をよく受けます。

特にMBA等で求められるIELTSやTOEFLといった資格試験では、 “minimum score” (そのスコア以下になると書類として認められなくなる制度)が設定されており、毎年多くの受験生の頭を悩ませています。

今回の記事では、このようにライティングでレベルアップしたい人たちに向けて、私なりのスコアアップのテクニックをお伝えできればと思います。

もちろん、英語試験だけでなく、日常のビジネスシーンにおいても今回紹介するテクニックは役に立ちます。

メールの文面が洗練されたり、ネイティブと話した時に要点が伝わりやすくなるために必要な考え方なので、そういった方達にも参考になれば幸いです。

中上級者向け英語エッセイの書き方

今回紹介するテクニックは以下の3つです:

  1. 抽象⇨具体へのシフト
  2. ディスコースマーカー(トランジションワーズ)
  3. ヘッジング

いずれのテクニックも、実際に私が教えた生徒たちのライティングを元に改善ポイントと修正したバージョンの文章をのせました。

あくまで具体例の一つだと思って読み進めていただけますと幸いです。

① 抽象から具体にシフトする

背景知識や価値観が異なる人たちが読む前提の英語ライティングでは、抽象的なアイデアを徐々に具体的に落とし込んでいくことが重要です。

日本では当たり前の現象や情報が、他国においては適切な置き換え表現がない可能性があります。

最初から具体的な情報を共有してしまうと、頭の中に浮かぶイメージに独自の解釈が多くなり、同じ情報でも受け手の抱く印象が大きく変わってしまうのです。

例えば「若者はSNSを使うべきではない」という主張を述べるために実際に生徒が書いた以下の例文をみてみましょう:

SNS platforms like Twitter or Instagram allow users to post contents via the internet all over the world. So, people cannot improve face-to-face communication skills.
(SNSはインターネット上で世界中に投稿できるので、対面でのコミュニケーションスキルを伸ばせない)

上記は「SNSはインターネット上で世界中に投稿できる」というSNSの機能や特性を述べた上で、「コミュニケーションスキルが伸びない」という否定的な主張に結びつけています。

これが、具体的な内容から抽象的な意見への展開。

一見大きな問題はないようですが、「SNSはインターネット上で世界中に投稿できる」という具体例はその後に続く主張が肯定的になっても違和感がないことがわかると思います。

読み手は「この具体例で何を伝えたいのか」がわからないまま読み進め、ようやく続くセンテンスで書き手が否定的な文脈としてこの具体例を用いたかったことが分かります。これだと、読み手にとって理解しやすい文章とは言えません。

次に、先ほどの文章の展開を逆にして少し工夫した例文をみてみましょう:

People cannot improve face-to-face communication skills. Since social media platforms like Twitter or Instagram allow users to post contents via the internet all over the world, opportunities for face-to-face conversations are likely to be fewer. This can lead to serious problems in the real world.  For example …
(コミュニケーション能力が向上しない。SNSは、インターネットを通じて世界中にコンテンツを発信できるため、顔を合わせて会話する機会が少なくなる。その結果、現実世界で深刻な問題を引き起こす可能性がある。例えば…)

どうでしょうか?

最初に否定的な意見を述べることで、自分のポジションを明確にし、その後に続くサポートセンテンスを全て否定的に解釈することができます。

更に「コミュニケーション能力が向上しない」ことによって起こり得る問題というより具体性の高い内容まで掘り下げることで、SNSを利用することの危険性をより説得力を持って述べることができるのです。

このように大枠のイメージを先に共有してから徐々に具体例に掘り下げていくことで、受け手に余計な負荷をかけることなく自分の伝えたいことをクリアに表現できるようになります。

② 適切なディスコースマーカーを使う

英語の接続表現をディスコースマーカー(又は “トランジションワーズ”)と呼びます。

これらは文章における「論理の流れ」を示す表現で、読み手はこれらをベースに文章の要点を掴んでいきます。

ディスコースマーカーには大きく分けて以下のような役割があります:

① 因果関係– because / since / as …
– so / therefore / thus …
– in conclusion / to summarize …
② 追加・並列– and / also / moreover …
– in addition / beside …
③ 例示・言い換え– for example / for instance / in fact …
– in other words / that is to say …
④ 対比・逆説– but / yet / however …
– although / though / even if …
– while / meanwhile …

日本語話者のエッセイによくある傾向に、これらを「感覚的に使ってしまう」ということがあります。

その表現が持つ役割ではなく、センテンスの雰囲気や流れから何となく表現を使うことで文章の論点が掴みにくくなる。その結果、受け手が正しく意図を汲み取ってくれないということが起こり得ます。

これも実際に生徒が書いた文章をみてみましょう。先ほどと同じトピックで「SNSを利用するメリット」を述べている文です:

Firstly, people can communicate with others anywhere, anytime, with anyone using SNS. For example, social networking services like Instagram or twitter enable us to communicate with others who live in other countries regardless of place and time. In the past, when people wanted to talk with others, they could only exchange letters many times. Thus, it took a long time to have a conversation with others. However, nowadays people can talk with people as  fast as they have face to face communication. 
(SNSはいつでもどこでも連絡ができる。国や時間に関係なく外国の人とコミュニケーションが取れるようになった。昔は手紙を書く必要があって、すごく時間がかかった。しかし、今は対面で話しているのと同じ速度で話すことができる)

一見大きな問題はなさそうですが、「結論」を示す “thus” の後に「逆説」の “however” で打ち消してしまうことで、段落の中でどこを強調しているのかが分かりにくくなっています。

もちろん「結論」のディスコースマーカーが具体例の中で機能するということもあるので、100%間違いという訳ではありません。

ただ、不必要にディスコースマーカーを入れることで、この段落で読み手に本当に伝えたい意図が何かが曖昧になってしまう可能性が高くなってしまいます。

次に、先ほどの文章のディスコースマーカーに工夫をした文章をみてみましょう:

In the past, when people wanted to talk with others, they could only exchange letters, which took a long time. However, nowadays, people can communicate almost instantly, just as they would in face-to-face conversations.
(昔は手紙を交換する必要があって、それには時間がかかった。しかし今は対面でのコミュニケーションくらいすぐにコミュニケーションが取れる)

いかがでしょうか?

上記の例では、関係詞の非制限用法を用いることで、一つのセンテンスの中に伝えたいことを全て言い切っています。

こうすることで、 “however” が過去と現在を対比しているのだということが読み手によりクリアに伝わりやすくなります。

「逆説」だけではなく「並列」を意味する “in addition” や “also” といったディスコースマーカーも、前の文と性質が同じことを述べているか、など気にかけてみるとより文意が伝わりやすくなると思います。

③ 過度な断定表現に注意する

過度な断定表現を使用すると、逆に間違った内容が相手に伝わってしまう恐れがあるので注意が必要です。

以下の2つのセンテンスを比較してみましょう:

A. Using social media is harmful to our health(SNSは健康に悪い影響がある)
B. Using social media might be harmful to our health(SNSは健康に悪い影響がある可能性がある)

これも日本語で考えると大きな問題はなさそうに見えます。

しかし、現在形で述べられている情報は「事実」としてのニュアンスが強い特徴があります。

特に “be動詞” は「元々の性質」や「断定的な事実」を述べる時に用いられる表現なので、「(100%絶対に)悪い影響がある」という意味になってしまいます。

これを避ける技術が「ヘッジング」と呼ばれるもので、助動詞や可能性を示唆する表現と組み合わせることで表現をマイルドにします。

具体例で挙げた “might” 意外にも、

  • it is generally said that, …
  • (be) likely to …
  • tend to …
  • it is possible that …

のような表現が一般的に使われます。

非常に細かい要素のように見えますが、英語力をもう一歩向上させる時に覚えておきたいテクニックの一つです。

まとめ

文章のレベルをアップさせようとした時に、私たちは「文法」にばかり気を取られてしまう傾向があると思います。

しかし、そのような詳細な情報(Detail)に着目しすぎて、もっと大切な大局の部分を見落としてしまっているかもしれません。

今回紹介したテクニックはライティングだけなく、スピーキングでも非常に役に立つスキルです。

日本人同士の会話と違って、ネイティブの会話は前提となる価値観や考え方、背景知識が全く異なります。

ベースが違う人と同じイメージを頭で描くためには、常に大きな枠から徐々に小さい情報にシフトしていくことが大切です。

今回の記事で一人でも多くの悩みが解決できれば嬉しい限りです。

SOLO English記事編集担当です。

一般的な知識や情報ではなく、これまでの指導経験や独自の考察を中心に英語学習に関するヒントになるようなことをまとめていきます。

よろしくお願いします。

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